BGCH-1012 B-Gram RECORDS / Being,Inc.
最高1位・約140万枚

title:DEEN
artists:DEEN
label:B-Gram
released:1994.9.14

producer:BMF
director:時乗浩一郎(BMF)
recorded&mixed:青木良樹(BIRDMAN)
mixed:野村昌之(BIRDMAN)
special thanks to:神林一夫(Beside)
executive producer:吉江一男(Mr.Music)、吉田真佐男(#6 TV Asahi Music)

アーティストのルーツと売れ線のせめぎ合い

tracks:

1. 瞳そらさないで
(作詞:坂井泉水 作曲:織田哲郎 編曲:葉山たけし
(C) 1994 Be-Kikakushitsu

ポカリスエットCMソングとしてミリオンヒットとなった5thシングル。
どうしてもTUBEなんだよなあ、この曲。
アレンジに見え隠れするのは『恋するカレン』


2. FOR MY LIFE
(作詞:作曲:池森秀一 編曲:池田大介
(C) 1993 Be-Kikakushitsu & Mediapulpo (KTV)

『愛と疑惑のサスペンス』より。
アカペラで始まるファンキーでキャッチーなナンバー。


3. Keep on Dancin'
(作詞:小田佳奈子 作曲: 山根公路・古井弘人 編曲:大島康祐
(C) 1993 Be-Kikakushitsu

アルバム向けの新曲。
それまでシングルのカップリングで定番になっていたブラックテイスト炸裂のファンキーなナンバー。
コーラスのクレジットに記載されていませんが岩切さんのコーラスが目立ってますね。
決して大黒さんではありません。


4. いつかきっと…
(作詞:池森秀一 作曲:栗林誠一郎 編曲:葉山たけし)
(C) 1994 Be-Kikakushitsu

アルバム曲としては出来が良いし、葉山さんアレンジなのでおそらくシングル候補に挙がってボツになったものと思われる。
当時のビーイングはこのレベルでもアルバム曲なんだから驚かされます。
栗林誠一郎さんの曲(コーラスも入れてる)ですから、坂井さんが歌ったら普通にZARDになる曲でしょうね。


5. 思いきり笑って
(作詞:川島だりあ 作曲:織田哲郎 編曲:葉山たけし)
(C) 1994 Be-Kikakushitsu & Mr. MUSIC

キャノンのタイアップがついていたので知られていた曲でしたね。
『永遠をあずけてくれ』もですが、だりあさんの簡潔かつ綺麗な言葉選びは凄いですよね。
織田さん曲ですし葉山さんアレンジなのでシングル候補だったとしてもおかしくないでしょう。


6. Memories
(作詞:池森秀一・井上留美子 作曲:織田哲郎 編曲:葉山たけし)
(C) 1993 Be-Kikakushitsu & TV Asahi MUSIC

コーラスは大黒摩季生沢祐一、栗林誠一郎。
本当に長戸氏が言ったか定かではありませんが大黒さんは『コーラスの天才』まさにそうかも。
タイアップの『ネオドラマ』って意味あったんでしょうか。


7. このまま君だけを奪い去りたい
(作詞:上杉昇 作曲:織田哲郎 編曲:葉山たけし)
(C) 1993 Be-Kikakushitsu & Mr. MUSIC

大ヒットになったデビュー曲。


B'z どうしても君を失いたくない

どうしても君を失いたくない 胸の奥から叫んでる
戻ることのない流れの中で 心燃やした人だから
同じ涙を流しあえる かけがえのない人よ
どうか強く手をとりあおう つらい時は泣けばいい

DEEN このまま君だけを奪い去りたい

このまま君だけを奪い去りたい
胸の奥でそう叫んでいるようだ
誰一人わからない
遠い世界で君を守ろう心燃やして
いつまでも抱きしめあいたい
永遠に戻ることのない時の中で



8. 広い世界で君と出会った
(作詞:池森秀一 作曲:織田哲郎 編曲:葉山たけし)
(C) 1994 Be-Kikakushitsu

こちらは、確実にシングル候補で見送られたものと思われる。
フォーマット自体は『瞳そらさないで』なのでプレゼンしてるかも。
歌詞がシングル向きじゃなかった?
やっぱり泉水さんみたいにサビメロがタイトルに完全に収まってキャッチーなフレーズがなきゃ。

広い世界で君と出逢ったことで・・・と『ことで』が余ってます
広い世界で君と出逢った奇跡、とかならサビメロがタイトルに完全に収まったね。


9. FOREVER
(作詞:作曲:池森秀一 編曲:大島康祐)
(C) 1993 Be-Kikakushitsu & TV Asahi MUSIC

カップリングではありましたが、個人的に好きだったのでアルバムに収録されてうれしかった覚えがあります。
アレンジはブラックテイストなんだけど、メロディーは和ですよ。
コーラスは大黒摩季。


10. 恋が突然よみがえる
(作詞:池森秀一 作曲:山根公路 編曲:古井弘人)
(C) 1994 Be-Kikakushitsu

池森さんのルーツをポップスという形に昇華させようという試みが随所にみられる今作ですが、それが一番顕著なのがこれかな。
この頃から田川さんって主張してたギタリストなんですね。コーラス栗林誠一郎。


11. 永遠をあずけてくれ
(作詞:川島だりあ 作曲:栗林誠一郎 編曲:葉山たけし)
(C) 1993 Be-Kikakushitsu & Mr. MUSIC

川島だりあさんのナイスな言葉選びが光る3rdシングル。
栗林誠一郎さんによる正統クリスマスバラード。
もちろんコーラス栗林誠一郎。


review:
1993年の3月のデビューから1年半でようやく発売された1stアルバム。
順調なシングルリリースは行われていましたが、その間もメンバーの脱退・加入などがありました。
『このまま君だけを奪い去りたい』はジャケット裏を差し替えたりしたのにあのメンバー辞めちゃったね。片方はTEARSだっけ。

4thシングル『永遠をあずけてくれ』あたりで、アルバム発売は待望されていた状況でしたがアルバムのセールスに影響する決定打が欲しかったんでしょうね・・・
『瞳そらさないで』がミリオンに達する状況となりその役割を果たしてくれました。
アルバム発売まで5枚ものシングルが出たことで2ndシングル『翼を広げて』は収録が見送られています。(『永遠をあずけてくれ』を見送ったほうがよかったのでは?)

ボーカリストの池森秀一のルーツはブラック・コンテンポラリー・R&B・ファンク・ソウル・ジャズ。
シングルのカップリング『DREAMIN'』『夢のつづき…Love in my dream』『FOREVER』『さよならも言わないで〜Rain〜』ではそれを確認できる。いずれも池森さん自身のライティング。
久保田利伸、中西圭三といった同系色のアーティストに呼応する意味でも当初は池森さんのルーツを重要視しポップスという形に昇華させようという試みがなされた。
バンド活動していくうえでそのような傾向は薄れていったものの、初期のほうがやりたいことができていた気もする。
コテコテのポップスをやってるほうがファンは喜ぶんでしょうけど。

『いつかきっと…』『思いきり笑って』『広い世界で君と出会った』はシングル候補になったであろうことを推測しましたが、そういう意味では結構聴きやすい内容だと思います。
『瞳そらさないで』で引き寄せられた人は『広い世界で君と出会った』で満足したことでしょう。
『このまま君だけを奪い去りたい』を好む人は『思いきり笑って』が沁みたことでしょう。

池森さんのルーツ、個性を活かしながら大衆が求めるコテコテのポップスを限界まですり合わせまさに全力投球で作った作品だと思います。

そうそうクレジット表記に疑問があります。
特にコーラスなんですが、古川さんや岩切さんのコーラスが入ってるのに何も記載されていない気が。